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JAHBnet(ジャーブネット)は、さいたま市のアキュラホームが開発した木造軸組工法の合理化システム「アキュラシステム」を導入した工務店の、FCでもなくVCでもない共済組合(friendly society)的なネットワークである。 アキュラホームは、木造住宅の工事の合理化を図るため、工事費の半分以上占める大工工事のコストを徹底的に分析した。大工工事は坪請けとなっていて、合理的だと考えていくら工夫しても、工事をする大工が手間を省け楽になるだけで、工事費は安くはならない、逆に省力化の工夫をして材料が高くなるその分だけ工事費が高くなるといった構造になっていた。 そのため材料費と労務費を分けてコストを細かく把握するとともに、どのような材料でどのような工事を行えば、コスト削減ができるか、たとえ材料費が高くなっても、労務費が少なくなれば、コスト削減につながるとして徹底的な改善案の検討を行った。 こうした結果、たとえば今ではかなり一般的になってきた厚い合板を使った根太なしの床工事が採用された。合板を厚くすることによって材料費は高くなるが、作業が省力化され工期も短縮される。大工の労務費は材料費が上がった分以上に安くなり、延べ床面積40 坪で、床工事は6万5千円ほど安くできるようになった。 当然、積算の方法も見直し、施工方法別に材料費と労務費を分けて原価管理する方法に変えて、大工への支払いも坪いくらではなく、積算に基づいた労務費で支払うようにした。 こうした原価管理は、大手ハウスメーカーでは当然のように行っていた。何も特別なものではないが、難しいのは「アキュラシステム」で言うところの、どんぶり勘定で使ってきたそれまでの大工に、これからは原価管理に基づいた労務費で支払うことを説得できるかどうかである。 また北米ではホームビルダー向けに毎年約1万件の現場をもとに、たとえば床工事のこうした工法といった形で、いわば建築エレメント別に積算データ集を印刷物およびフロッピーで提供していた。しかも地域によって材料費、労務費が違うので、細かく分けた地域別にし、さらに労務費も「大工1人+手元1人」というように実際の工程計画でスケジュール管理するデータにもなりうるようになっている。 アキュラシステムでも、材工分離による原価管理と合わせ、施工工程の見直しを行い、並行してできる工事はできるだけ同時に行うようにして、工期の短縮を図った。 「アキュラシステム」が開発されている頃、CPM(クリティカルパス・メソッド)による工程管理手法が注目されたが、工程管理だけでのコスト削減は、あまり説得力がない。その点で、材工を分離し原価管理し、工法まで含め改善をした「アキュラシステム」の方が勝っていた。
by thirdage
| 2012-06-04 10:27
| 工務店ネットワーク
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