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スウェーデンでは1990年代はじめ住宅供給での公共セクターの役割が弱くなり、しかも建設費が高騰したため、住宅市場で需要と供給のギャップが大きくなっていた。こうした状況を解決するたの特設住宅展示会が1995年に開催され、家具のIKEAと建設会社のSkanskaも参加することになった。両社は出展したデモンストレーションモデルで、現状の住宅よりローコストでの建設が可能であることを示そうとした。 これがきっかけとなってIKEAとSkanskaは、1996年に住宅開発プロジェクトをスタートさせた。 プロジェクトチームは、市場調査としてまず顧客研究を行い、平均的な世帯は1から3人の間であることがわかった。さらに銀行に協力してもらい、衣服、育児、食事やその他の支払いをした後、どのくらいのお金が生活費として残るかなどについて調べた。 1000人にインタビュー調査を行い、たとえ小さくてもフェンスで囲まれた野菜やりんごの木を植える庭が欲しいこと、駐車場は家の近くにあれば必ずしも家の前でなくてもよいが、駐車場での子供の安全には配慮してもらいたいことがわかった。また匿名ではなくどんな人が住んでいるかわかり合えるような、コミュニティーが求めていることも指摘された。こうしたことから、庭に接した小規模なアパートが商品コンセプトとなった。 さらに2階建てのアパートで天井が高く、木のフローリング、大きな窓、浴室のタイルなど良質な材料、上品なキッチンキャビネットなどの装備への要望も高かった。 外観に関しては伝統的にレンガや石が使われている状況の中で、とくに建設会社側ではいかに低価格な住宅で実現するかが検討された。しかしIKEAの家具もそうであるが、車などの市場でも普及車から高級車までいろいろあるのだから、必ずしも伝統的外装にはこだわらなくてもよいのではないかということになった。 しかも低価格な住宅といっても、必ずしも低所得者向けの住宅ではないということも確認された。高所得者でも住まいにはあまりお金をかけず、もっと別なところにお金を使う人もおり、そうした顧客も対象になると考えた。低価格であってもチープなものであってはならないと考えた。 スウェーデンの建築基準では、木造で5階建てまで可能であるが、木造でのアパートはあまり実例がない。そのため開発当初の1997年に建設された3棟は、賃貸住宅にして入居者の居住後の評価を調査し、改善のためのデータ収集を行った。
by thirdage
| 2012-06-03 18:43
| IKEAとMUJIの住宅
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