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第三世代の住宅供給業者は、成熟した住宅部品産業に支えられて、工務店など需要サイドに近い側で、個別な散在した需要に対応するためにDCM(デマンド・チェーン・マネジメント)をいかに効率的に行うかといったことによって、それなりの需要をまとめることができた住宅供給業者である。 活発になったのは1980年代中頃からであるが、その登場は1970年代末からである。ちょうど日本の住宅供給が量を求める時代から、質を求める時代に変わろうとしていた時期である。 1971年に始まった第二期住宅建設五カ年計画で、政府は住宅生産の工業化による大量住宅建設計画を打ち出し、自動車産業や造船産業などから多くの企業が住宅産業に参入してきて、工場での大量生産技術を活かした、さまざまな開発プロジェクトが行われた。しかしそのほとんどは成果を上げないまま、量から質へといった需要の変化を迎えてしまった。 まず住宅VC(ボランタリーチェーン)が、1970年代後半に北米からの輸入住宅のVCとして始まった。さらに主としてローコスト住宅の供給をめざした住宅FC(フランチャイズチェーン)も1980年代に始められている。住宅VCも住宅FCも顧客の窓口となるのは、地域に根ざした工務店や建設業者で、遠く離れ顔の見えない第二世代の住宅供給業者である住宅メーカーに比べ、需要者にとって身近なものとして映っている。 また第二世代の住宅供給業者に対向するため、工務店による協同組合も1970年代末から組織し始められている。しかし製造業や建設業の協同組合と違って、工務店はもともと営業、設計、施工といった一貫した家づくりを担っているので、協同組合といってもその中でどの機能を協同化するかなかなか難しい。 しかし住宅に関しての政策や公的な制度が、頻繁に変わるので、そうした情報をいち早く入手し機動的な対応を可能にし、さらに圧力団体まではいかないにしても、政策に工務店の意見を反映させるために、協同組合はそれなりの意義を持ってきた。 1990年代中頃からは、ローコストビルダーやパワービルダーも登場している。大手住宅メーカー並みの規模をめざしているところもあるが、第二世代の住宅供給業者と違って、自らは製造工場を持たない、施工組織を持たないのが特徴である。他産業のファブレス企業に相当するビジネスモデルを採っている。 さらに1990年代後半には、インターネットを活用した住宅コンペサイトや、第三者的立場で顧客の家づくりを支援する消費者エージェントも登場している。住宅供給業者ではないが、顧客にもっとも身近な住宅供給関係者となっている。 1990年代末にはインターネットを駆使した工務店ネットワークも生まれている。コンピュータネットワークを活用したDCM(デマンド・チェーン・マネジメント)の登場である。 さらに2000年代になると、生活雑貨やインテリアファブリックス、家具などの大手販売会社が、その延長上にある住宅をそのブランド商品として開発し、住宅市場に参入してきている。北欧のIKEAと日本の無印良品であるが、ブランドの提案するライフスタイルに共感した顧客に住宅を提供するといった新たな住宅供給業者である。
by thirdage
| 2012-06-07 17:12
| 第三世代の住宅供給業者
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